保険の必要保障額を見直し!節約できる保障金額の割り出し方とは?

生涯をトータルすると、数百万円にも上ると言われている、保険料支出。
それゆえ、任意保険のための負担は人生三大支出(住宅資金・教育資金・老後資金)に次いで家計を圧迫すると言われています。

ですが、なるべくなら自由になるお金をふやして、彩りある人生を送りたいですよね。
そのためには、状況に応じて不要な保険料支出は削減したいものです。
というのも、人生に起こるいくつかのライフイベントの中で、保険で備えるべき必要保障額は変化するからです。

今回は、万一の時の必要保障額の割り出し方から、保険料を節約するために利用できる制度、そして任意加入の保険でどこまで備えれば十分なのかについて、解説します!

も く じ

一家の稼ぎ手に万が一のことがあった場合、遺された家族へ必要な金額は?

保険で備えるべき必要保障額は家族によって差があり、一概に「△人家族なら○○円」だとか「平均●●円」だとか言うことには、あまり意味がありません。
それは、家計の収入や支出は世帯によって非常に差があるからです。

そして保険の目的は、万一収入が絶たれたときでも困らない、つまり生活のレベルを極端に落とさないことでしょう。
ですから、必要保障額は各家庭の現在の支出の状況を基にして考える必要があるのです。

博士!また保険見直しのご依頼が来ましたよ!
今回は子育て中のママがご依頼人です。
ほう…。夫と妻、そして幼稚園に通う幼児が1人という3人家族じゃな。
依頼者のママさんは、今は家事と育児に専念しておるから、収入源は会社員の夫の給料のみということじゃの。

よしナオミ、さっそくこの家族の必要保障額を算出しとくれ

夫に万一のことがあった時に、遺族となる母子に必要な金額ですね。
了解しました!

必要保障額の算出の仕方を解説

それでは具体的に、夫婦と幼児1人という3人家族を例にとって、必要保障額を算出してみましょう。

この家族の現在の生活費(下の表の左側)を基に、必要保障額すなわち夫に万が一のことがあった時以後の生活費(下の表の右側)について考えてみます。

夫婦と幼児1人

項目 現在の生活費 必要保障額 備考
住居費 100,000円 0円 不要になる
食費 50,000円 35,000円 3割減
日用品費 20,000円 14,000円 3割減
水道光熱費 20,000円 14,000円 3割減
通信費 20,000円 14,000円 3割減
教育費 30,000円 30,000円
娯楽費 15,000円 10,500円 3割減
夫の小遣い 30,000円 0円 不要になる
妻の小遣い 10,000円 10,000円
夫の生命保険料 20,000円 0円 不要になる
貯蓄 20,000円 20,000円
合計 33万5000円 14万7500円

※住居費・食費・教育費など、支出のどこにウエイトを置いているかは、家族ごとに大きく異なります。
あくまでも一例としてお考えください。

住居費や食事など、生活費は万一の場合、現在より必要な額は減少します。万一のときには、以下の理由で支出が減るためです。

住居費 持ち家の場合、団体信用生命保険(団信)に加入しているはずです。団信によって、以後の住宅ローン返済が不要になります。賃貸の場合は、万一のとき以後にも家賃支出が必要ですので注意しましょう。
夫の小遣い
生命保険料
万一のとき以後は不要になります。
食費・日用品費
水道光熱費
通信費・娯楽費
夫の分が無くなるので、それぞれ2~5割削減されます。今回はすべて3割減として試算しましたが、これも各家庭の状況によって項目ごとに差があります。自分の家計の実態をふまえて予測しましょう。

現在の支出に比べて、必要保障額はずいぶん少なくなることが分かりました!
万一のときには、不要になる支出と、大幅に削減される支出が存在するというのがポイントじゃな。

保険料を節約するために!保険加入前に知っておくべき公的保障

ということは、こちらのご家族の必要保障額は、毎月約15万円ですね。
遺された奥様の余生が残り50年間として、ざっくり毎月15万円×12か月×50年間=9000万円というところでしょうか!
いや、それじゃと多すぎるじゃろ。
世帯主に万一のことがあった時には、さまざまな公的制度が利用できるからじゃ。

必要保障額のすべてを保険で準備しなければならないわけではありません。
遺族年金をはじめとする国や地方自治体の制度で、稼ぎ頭に先立たれた遺族の生活は保障されるからです。

子どもがいる妻には遺族基礎年金が支払われる

夫の収入で生計を立てていた妻には、遺族年金が支払われます。
遺族基礎年金の年金額は、次のように計算されます。

年金額=78万100円+子の加算

子の加算は、第1子と第2子は各22万4500円、第3子以降は7万4800円

日本年金機構HPより)


つまり、子どもの数によって、次の金額が年金により保障されます。

子どもの数 年金額 年金額の月額
1人 100万4600円 約8万3716円
2人 122万9100円 約10万2400円
3人 130万3900円 約10万8700円

子ども1人なら約8万円か…。
これだけで、必要保障額の半分以上がまかなえてしまいますね。
うむ。確かにそうなのじゃが、注意点もあるぞい。
遺族基礎年金の給付対象は、子どものある配偶者だけじゃからの。

遺族基礎年金は、18歳未満の子どもをもつ配偶者か、18歳未満の子ども自身にしか給付されません。
ですから、夫の収入で生活していた妻でも、子供がいなければ遺族基礎年金は受けとれません。
また、子どもがいても、末子が18歳の誕生日を迎えた時点で、遺族基礎年金の受給資格は失われてしまいます。

夫が会社員なら、遺族年金は増額される

夫が会社員なら厚生年金に加入しているので、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も受けとることができます。
遺族厚生年金の計算式は、かなり複雑です。

年金額=平均標準報酬額×5.769/1000×厚生年金加入月数×1.031×0.978×3/4

(加入月数が300月の場合。300月に満たない場合は、加入月数/300をかける)


保険各社がおおまかな厚生年金額の目安を試算してくれているので、それを参考にしましょう。
加入月数が300月として、平均標準報酬額(≒給料の平均)が20万円・30万円・40万円の場合、合計の年金月額の目安は、以下のようになります。

遺族基礎年金+遺族厚生年金の合計月額(目安)
平均標準報酬額 20万円の場合 30万円の場合 40万円の場合
子どもなし 2万円 3万円 4万円
子ども1人 10万円 11万円 12万円
子ども2人 12万円 12万円 14万円
子ども3人 13万円 14万円 15万円

アクサダイレクト生命HPより)

遺族厚生年金は、子どもがいなくても、また子どもが18歳の誕生日を迎えて以降も受給できるところが、遺族基礎年金との違いです。

先ほどの毎月15万円、生涯で9000万円という必要保障額は、この遺族年金だけで、かなりフォローできることになりますね!
夫の平均標準報酬額が30万円なら、子どもが18歳になるまでは毎月15万円-11万円=4万円程度で済むということじゃ。

その後はもらえる遺族年金は減るが、そのころには子どものお世話はいらんじゃろう。

妻が再就職して10万円程度稼げば、やはり必要保障額は毎月5万円程度に抑えられるはずじゃ。

遺族年金を考えるだけでも、必要な保障の適正額は毎月5万円以下。

奥様の残りの人生が50年だとしても、月々5万円×50年間で、必要保障額を2500万円に圧縮できますね!

遺族年金以外の公的保障

遺族年金以外にも、世帯主に先立たれた遺族の生活を保障する公的制度はさまざまあります。

◆世帯主が死亡していなくても受けられる公的保障
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●子どもの医療費助成制度
ほとんどの自治体において、子どもの医療費が無料になる、または自己負担限度額が500円など大幅に削減される助成制度が存在します。
ただし、年齢制限や所得制限など、自治体によって制度の内容には差があるので、お住まいの市区町村で確認しましょう。

●児童手当
かつては「子ども手当」という名称でした。
子ども1につき、満3歳までは月額1万5000円、満3歳から中学校卒業までは月額1万円(第3子以降は1万5000円)が支給されます。

◆世帯主の死亡(母子家庭世帯になる場合)や所得の減少によって受けられる公的な生活保障
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●児童扶養手当
母子家庭の子どもの養育のために、自治体から支給されます。所得制限がありますが、満額受給できる場合、毎月の受給額は子ども1人なら4万2000円、2人なら4万7000円となり、3人目以降は3000円ずつ増額されます。

●住宅手当
自治体によって保障の大きさや制限には差がありますが、母子家庭で賃貸住宅に居住している世帯主に対しては、家賃の自己負担額を減らすための助成制度があります。

●ひとり親家族等医療費助成制度
母子家庭の医療費の一部を助成する制度です。

●就学援助制度
小学校や中学校に通う子どもの学用品費・修学旅行費・給食費などを援助する制度です。援助を受けられる所得基準は自治体によって差があるので、確認しておきましょう。

●国民年金や国民健康保険の保険料免除
所得が少なく保険料の納付が困難な場合、申請すれば国民年金や国民健康保険の保険料は減免されます。

●保育料の減額や免除
保育所の保育料は所得によって決定されますし、自治体によっては母子家庭支援のために保育料の免除制度や減免制度があるところもあります。

会社員なら勤め先の福利厚生も要チェック

へぇ~、国や自治体もがんばってるんですねぇ!

医療費や学費など、子どもの成長に必要なさまざま支出がカバーされているように思います。

そうじゃの。しかし、遺族を大切に思っておるのは政府だけではないぞ。

夫の勤め先である会社じゃって、家族のことを考えておるのじゃ。

企業の中には、従業員の福利厚生事業の一環として、遺族保障制度を整備しているところもあります。
大企業に限らず、中小企業でも企業として保険に加入することで制度を維持していることもあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

会社や社内の組合運営する福利厚生事業

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●遺児育英年金
社員の遺族に子どもがいたとき、その子どもが18歳など一定年齢に達するまで毎月一定額を支給する。

●死亡退職金
退職時に受けとるはずであった退職金は、在職中に死亡すれば受け取れないままになります。そこで、社員の死亡時に本人に代わって、遺族に退職金を支払う制度のことです。当然、退職金に匹敵するまとまった金額になりますが、相続税の対象になるので注意しておきましょう。

●弔慰金、見舞金
会社や社内外の組合などの規約により支払われることがあります。金額も数万円程度から数十万円になることもあるなどまちまちです。内規を確認しましょう。

まとめ

  • 万一のときの必要保障額は、現在の支出から相応な金額を除いたものになる
  • 世帯主が死亡した場合、遺族年金をはじめとしてさまざまな公的保障が受けられる
  • 会社員なら、勤め先の福利厚生事業から保障を受けられることもある
意外と、自分で保険に加入して備える必要って限られてきますね。
でも全体的に、「子をもつ」という条件や「子どもに支給される」というものが多いことがひっかかりました。

夫に先立たれた、子をもたない妻は困りませんか?

まぁ、子どもがいなければ子育てに手間や時間を取られることもないし、言ってみれば「独身」なわけじゃろう。

それから職に就くなり、再婚するなり、生活の方法はさまざま、人生はまだまだこれからのはずじゃ。

一応、妻が40歳以上なら子がいなくても受けとれる「寡婦年金」という制度も、遺族基礎年金にはあるのじゃ。

なるほど!だから保障は子どもに集中しているのですね!
それにしても、人生山あり谷ありなんですね。深いなぁ…。