加入していた生命保険会社が倒産、契約はどうなる?

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黒田東彦日本銀行総裁が巻き起こした異次元緩和、その名も「黒田バズーカ」。
「マイナス金利」という未経験の事態に、金融の世界は大わらわです。

金融機関というと、どうしても銀行や証券会社を思い浮かべてしまいますが、生命保険会社も金融機関の1つだということを忘れてはなりません。

そして、民間企業でもあるのです。
経営が悪化すれば、破産することもあります。

それではそんな最悪の事態に、加入者の保険契約はどうなってしまうのでしょうか?
解説いたします!

も く じ

破産した生命保険会社はどうなるの?

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生命保険会社が破綻することがあるのかというと、実は過去に例があるのです。
戦後最も古いものは1997年の日産生命、新しいものでは2008年の大和生命があります。

もちろんそれら保険会社の倒産は、保険加入者にしてみれば予想もできない出来事です。
ですので、倒産した時点では、その保険会社が販売したたくさんの保険契約が継続したままでした。

ですから、国民の保険契約を守るために、「生命保険契約者保護機構」(以下「機構」)という組織が設立されました。

機構の運営は会員である生命保険会社から集められた負担金を財源にしており、日本国内で生命保険を販売している保険会社は、外資系であっても必ずこの機構の会員となっています。

そして機構の活躍によって、破産した生命保険会社がもつ保険契約は、3パターンのいずれかの方法で継続するのです。

①救済保険会社が現れた場合

破綻した生命保険会社の保険契約を引き継ぐ救済保険会社が現れた場合、その保険会社に保険契約は移転されます。
この場合、保険契約者は保険料支払先を救済元の保険会社に変更して、保険金や解約返戻金をその保険会社から受け取ることになります。

機構は、救済保険会社に資金援助をすることで、この一連の手続きを保護します。

②救済保険会社が現れず、機構の子会社である承継保険会社が契約を引き継いだ場合

救済会社が現れなかった場合、保険契約を保護して継続させるための承継保険会社を、機構が出資して設立することがあります。

この場合、保険契約者はその承継保険会社に保険料支払いを続け、保険金や解約返戻金を受け取ることになります。

③救済保険会社が現れず、機構が契約を引き継いだ場合

また場合によっては、機構が承継保険会社を設立せずに、自ら保険契約を引き受けることもあります。

この場合は、保険契約者は機構に保険料を支払い、保険金や解約返戻金を受け取ることになります。

なぁんだ。3パターンのどれも結局、引き受ける相手が違うだけで、保険契約が続行することには変わりないんじゃないですか。
それじゃあ、安心ですね♪
いやいや、そうはいかん。契約している生命保険会社が破産してしまったなら、場合によっては保険加入者がかなりのダメージを負うこともあるのじゃよ。

保険契約が継続されるときの注意点

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保険というと、万が一のときの生活保障のために加入するという、相互扶助のしくみだというイメージが強いかもしれません。

ですが、生命保険会社が倒産してしまうと、保険契約こそ継続されるものの、その内容は契約者にとって不利なものに変更されてしまう可能性があるのです。

具体的には、高かった予定利率が引き下げられたり、責任準備金が削減されたりします。

それらの場合に保険契約がどうなるのか、細かく見ていきましょう。

保険金や解約返戻金が削減される可能性がある

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責任準備金とは、将来生じる保険金支払に備えて、生命保険会社が準備しているお金のことです。

終身保険のような貯蓄型保険では、解約時に責任準備金が解約返戻金として払い戻されるため、そのお金は保険契約者が保険会社に預託しているようなものだとも考えられます。

しかし、そのお金が予定通りに運用できなかったがために倒産しているのですから、責任準備金がカットされるのは当然のことだとも言えますね。

この責任準備金に対して、機構は90%までを補償してくれます。

といっても、すべての保険契約の保険金が90%に削減されるわけではありません。

定期保険のような保障性が高く掛け捨ての保険商品は、そもそも責任準備金がごくわずかしかないため、生命保険会社の倒産時にも保険金額の削減は無いかごく小さい減少幅に留まります。

一方で、以下のような種類の保険は、保険金や解約返戻金の削減幅は比較的大きくなります。

  • 貯蓄型保険

終身保険や養老保険(学資保険)、個人年金保険のような貯蓄性の高い保険契約には、高額の責任準備金が必要です。

ですから生命保険会社の倒産による責任準備金カットの影響を強く受けることになります。

  • 予定利率が高い保険

予定利率とは、生命保険会社が保険契約時に設定していた、保険料の運用利率のことです。

機構が定める基準利率から見て予定利率が高い、つまり設定が甘い保険契約が経営を圧迫していたというのが倒産の一因なのです。

ですから、高すぎる予定利率の保険契約は承継後に見直され、その分保険金額が減少します。

  • 保険期間が長い保険

加入時期(予定利率)が同じでも、満期までの期間が長い保険契約ほど、保険金の減少幅が大きくなる傾向があります。

継続された保険契約は簡単に解約できない

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貯蓄型保険にとって保険金や解約返戻金による「利回り」は、何よりも大切なものです。

それに手が加えられて不利なものに契約変更されてしまうのなら、いっそのことすぐにでも解約したくなるというものですよね。

しかし、生命保険会社の破綻時は、簡単には解約できないのです。

  • 保険契約の移転が完了するまでは、解約できない

そもそも、保険契約の移転が完了するまでは、解約できません。

そして、もちろん保険契約の継続を希望するのであれば、移転手続き中といえども保険料を継続して払い込み続ける必要があるのです。

  • 早期解約控除がとられることもある

生命保険会社の破綻後から一定期間内に解約する場合には、契約変更されて不利になった解約返戻金額からさらに一定の割合の減額が行われることもあります。

生命保険会社も金融機関ですから、せっかく再出発しようというときに解約者が相次ぐと、銀行の取り付け騒ぎのように、すぐに経営が傾いてしまいます。

ですから、早期解約者にペナルティを課すことで、その事態を避けようとしているのです。

保険への加入を検討するときに保険会社のチェックすべきポイント

なるほど。
生命保険会社の倒産時に受けるダメージを少なくするためには、なるべく貯蓄型保険はやめて、予定利率が低く、保険期間が短いものを選べばいいんですね♪…って、そんなものばかり選んでられませんよ!

保険での資産運用を諦めるわけにはいかないし、予定利率は高い方が良いです!保険期間が短ければ、保険料が上がる更新が何度もくるじゃないですか!
どうにかならないんですか?

ふぉっふぉ、そうじゃのう…。

やはり保険に加入する前に、保険会社の経営の健全度を確認することじゃのう。

つまり、倒産しそうもない保険会社と契約するということじゃ。

今回は保険会社の経営健全度を測る指標を2つ紹介します。

  • ソルベンシー・マージン比率
  • 「ソルベンシー・マージン比率」とは、生命保険会社の保険金支払い余力のことで、大災害のような予測しえないことが起こったときにでも、生命保険会社が対応できるかどうかを示しています。

    %で示されるこの数値が200%を下回ると、監督官庁である金融庁から行政指導が入ります。

    ですから、200%を超えて十分に高い値を保っている生命保険会社は、経営が安定していると判断して良いでしょう。

  • 基礎利益
  • 「基礎利益」とは、民間企業でいう「営業利益」に該当するもので、生命保険会社が保険業本業で得た利益を指します。

    保険収益(保険料収入-保険金,解約返戻金支払いと事業費)と運用収益(運用による利息や配当金収入)を合算したものです。

    予定利率が高すぎる保険契約が経営を圧迫するような事態になると、この基礎利益が縮小またはマイナスに転じることになります。

    ですから、この基礎利益やその推移をみることで、経営が良好かどうかを判断することができます。

    まとめ

    • 生命保険株式会社が倒産しても、生命保険契約者保護機構によって、保険契約が継続する措置がとられる。
    • ただし、継続される保険契約は、契約条件変更が行われる可能性がある。
    • 特に貯蓄性保険や予定利率が高い保険、保険期間が長い保険で、保険金や解約返戻金の削減幅が大きい。
    • 生命保険会社の倒産後すぐには、簡単に解約できないしくみになっている。
    • 生命保険会社の経営健全度を判断するためには、ソルベンシー・マージン比率や基礎利益といった指標をチェックしよう。

    万が一のときのために保険に加入するのに、その生命保険会社の万が一のときのことも考えなきゃならないなんて、なんだか気が重いですよ…。
    そうかの。じゃが各生保のホームページを閲覧すれば、必ず指標は掲載されておるぞ。
    「ディスクロージャー」なんていうところをクリックしてみい。

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